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「いや、違うだろ。もういっぺんお大名んとこ行って聞いてみろって」
とは口が裂けても言えない。
二人は考えた。うどんに蜜でもかければ甘くはなるが、味の保証はない。マズいもんを食わせたとなってはさらし首にならない保証もない。
正直に「ありません」と言ってしまうか?
ちらりと店の奥を見ると、にこりと笑って金色が手を振っている。
この状況で「ありません」は言い終わる前に心の臓が止まってしまうだろう。
そのとき店の外から物売りの声が聞こえた。
六兵衛はポンと膝を叩いて汗だくの主人に顔を近づけた。
「考えがある。先にどんぶり用意して待っててくれ」
そういうと急いで店を出て行ってしまった。
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