二.

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二.

「おっ、時間だ。それじゃあな」 左腕を突き出して時刻を確認する振りをした熊五郎は小走りで去っていった。危機回避能力は高いに越したことはない。 ひとりになった六兵衛に役人たちが近づいてきた。 「その方、六兵衛であるな」 「へい、左様でございやす」 落ちた小銭を拾いでもするように身体をくの字に曲げた六兵衛はそのまま厄介ごとが頭の上を通り過ぎるよう祈った。 「うまい飯屋を知っておると聞いたが」 「あーーー、まあ、どうでしょうねーーー。知ってるというか、知っちゃってるというか」 「この辺りで一番うまいうどんを食わせる店を探しておる」 「あーーー、うどんでございますか。 それでしたらあちらへ すーーっと行って、右に曲がって ぎゅーっと行って・・・」 「全然わからぬ。案内いたせ」 「ですよねーー」
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