お母さん

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お母さん

「いい子だから、待てるよね。」 母は、そう一言、僕に言った。 「いい子」 僕は、母からいい子だと言われたことはこれまで一度もない。 いい子でいれば 母は僕に笑顔を向けてくれるかもしれない。 そんな期待を胸に、 いつも僕は、いい子でいた。 しかし、 僕のいい子は 母にはいい子ではなかったらしい。 僕が、僕の考えるいい子でいても 母が僕に笑顔を向けることは一度もなかった。 「いい子」 母からずっと言われたかった言葉だった。 「待てるよ」僕の返事を 母は待たずに 母は出かけた。 なぜなら、 僕は、満面の笑みだったからだ。 「いい子」だと認めてもらえることが嬉しくて、 飛び跳ねるほど嬉しくて、 返事をせずとも、母に僕の気持ちは伝わったらしい。 その日の朝は、母は僕に始めて 手作りのご飯をくれた日でもあった。 冷凍のごはんをチンして、ほかほかになったご飯の上に、一度もまだ混ぜていないパックの形がまだくっきりと付いた納豆が、 ご飯と一体化せず、今にも落ちそうな状態で、 ほかほかのごはんのゆげに掴まろうとしていた。 なっとうごはん。 母が作ってくれた料理の名称は、施設のおばさんから教えてもらった
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