シャッターを切る理由

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 パシャリ、パシャリとシャッターを切る。冬の寒さ、雪の冷たさを感じながら。  風景はとてもいい。どれと切っても絵になる。けれど、物足りない。きっとこれは他の人には素敵な写真であっても、私にとっては物足りない写真だ。  素敵な写真は心を動かされる何かでなくてはならい。  だから、私にとって、心を動かすものは……。 B「寒くないの?」  その声にどきっとしてしまい、手が、体がびくついて、シャッターを切った瞬間カメラが動いてしまう。きっと手ぶれで酷い写真になっているだろう。  少し、心を落ち着けて、いたって冷静に見えるように振り向く。  そこには大好きなあなたがいた。 B「良い写真とれた?」 A「……これから撮れる予定」  私はそう言って、彼の方にカメラを向けて、シャッターを切る。  うん、いい写真。大好きなあなたがうつっている。  素敵な写真は、心を動かすものでなくてはならない。シャッターを切る理由も同じく。  私の心を突き動かすのはあなたへの恋心。寒さも平気になってしまうくらい熱い感情。  だから、私が撮るあなたの写真は、私にとってなによりもかけがえのないものなのだ。
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