あなたの人生を一冊の本にします

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あなたの人生を一冊の本にします

 ――気付いたら見知らぬ場所にいた。  今日は金曜日。五日間の仕事で疲れた体と精神を労うために、同僚たちと一緒に場末の居酒屋で愚痴をこぼしながら日本酒と焼酎をしこたま飲み続けるという、「汚い女子会」をやっていたことまでは覚えているんだけど、その先の記憶がない。流石に飲みすぎたかな?  辺りを見回してみると、どうやらどこかの商店街らしかった。背の低い、古い建物がずらっと(のき)を連ねていて、いかにも「懐かしい」風情の商店街だ。  もう深夜なので、どの店もシャッターが閉まっている。人通りもない。やけに薄暗い街灯に照らし出されたシャッター街はどこか不気味な雰囲気があって……今更ながら軽く恐怖心が湧いてきた。  もうあまり若くないとは言え、こちらはか弱い女子なのだ。こんな人気(ひとけ)も無ければ土地勘もない、裏寂れた場所に一人でいるのは危なすぎる。さっさとおさらばしよう。  そう思い、バッグからスマホを取り出してみたら……驚いたことに、充電が切れているらしくウンともスンとも言わない。電源ボタンを押そうが画面をタップしようが、スマホの画面は真っ暗なまま、私の間抜けな顔を薄っすらと映しているだけだった。 「困ったなぁ……」  思わず独り言を呟きつつ周囲を見回すと、商店街の端っこの方に一軒だけ薄っすらと明かりのついている店があることに気付いた。どうやらまだ開いているらしい。  仕方がない。あの店で道を訊いて……あわよくば電源を貸してもらおう。
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