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その店は、他の建物と比べてもやけにレトロな外観をしていた。
木造の二階建ての店で、木の色味からして築年数は軽く数十年を超えているように見える。店の入口の引き戸もアルミサッシではなくて木製。引き戸には曇りガラスがはめ込まれていて、店内の様子は分からない。
『あなたの人生を一冊の本にします』
看板の類も見当たらないけど、曇りガラスにはこんな文句が書かれた紙が一枚、貼ってあった。
……一体何のお店なんだろう? 怪しいと言えば怪しいけど、それ以上に興味が湧いてきた。
よし、とりあえず入ってみよう。
まだ僅かに残るお酒の影響もあったのか、私はためらいなく、その店の引き戸を開いていた――。
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