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「退院の朝は来たりぬうつそみの世にぞ帰らん改めの世や」
「六十(むそ)余年過ぎにしわが世返すならおのれ変へてぞ真とすべし」
「年寄りの冷や水ならぬ新人(あらひと)ぞ老ひてもいよよ務むるが性」
「憂き世経てとありかかりともなにかはせん魂(たま)の御風に塵と吹かせよ」
「かたければくづしてつながん仮名のごと人の心もいでかくてこそ」
「彼我一如吾(わ)と汝(な)がために鐘は鳴る死の定めやは生(あ)れしゆゑ述ばふ」
「せしことも習ひもつかぬことなれど他を思ひなむ強ひを尽くして」
「人もがな汝(なれ)と汝(な)がこと伺ひたし聞らく少なく云ふらく多み」
※「~もがな」=「~が(居て)ほしい」
「なむ」をすゑつづり終へたし我がことを快・暴流の身ただ仕舞ひたし
「松返り痴れ者愚者はすさぶまじ言挙げせしを空ろとせなく」
※「松返り」=枕詞です。
「想念の悔ひと改め行のそれ働くさまは比べかぬるかな」
「友来香(ゆうらいしゃん)睦むほどにぞ癒さるる心観ぜばむべ‘人’の‘間’なり」
「道はづし吾(わ)が荒(す)ぶほどに傷つけるはらから見ればやがてはあらじ」
「誰も知る積み木崩しの幼さを旧りても続く正さぬかぎり」
「すね者の独り身ままのあさましさなど聞かばしもさ在るとなくに」
「いささ川夢にあらはれ吾(わ)を浸すぬるき流れぞ胎内(ふるさと)ごとし」
※「いささ」=「小さい」
「夢中におもふどちらの声あはせ名乗らせたまへと我を推すめり」
※「おもふどち」=「ともだち」
「空おほふ扇とも見ゆうろこ雲そこゆ風吹く天衆あふぐか」
※あれほどの見事なうろこ雲を見たことがありません。空一面のうろこ雲!清風が下って来ました。平安時代の貴人・歌人たちが空にいて、扇をあおいでくれているような…
「歌詠みは時空を超えて呼ばふなり歌神歌聖よ訪ひたまへ」
「かへりなむあの日あの時ガン臥所もばら終りと覚えしものを」
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