主義あるハイエナ

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 しかし言い訳をするようですが、僕は自分の実力で女性を引っ掛けられないからこういう手段を選んでいるのではないのです。  愛する男に捨てられた傷心の女性。彼女達こそが、僕を最高に興奮させてくれる。  自分がいかに傷ついているか、悲劇のヒロイン気取りで彼女等は語ります。そうでありながらいざベッドに入れば、憂いなど簡単に脱ぎ捨てて見境もなく本能のままに啼くのです。  そこに見え隠れする彼女達の卑しさ浅ましさ。それこそ、僕が求めるものなのです。  倒錯的な趣味であることは理解しているつもりです。それでもそういう嗜好に走るのは、純粋な愛だの恋だのを見たことも、ましてや経験したこともない人生の中で培われた僕の価値観故なのでしょう。  狼の餌を狙うハイエナ。たとえその餌が既に腐っていたとしても、腐肉には腐肉の味わい方があるのです。  だから僕は案外、この渾名が気に入っていたりします。
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