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私に手を差し伸べる。こちらを見るふたつの薄水色の目。切りとって水彩画にしたら、どんなに素敵だろう。
私はその手をとって、立ち上がる。痛む膝。でもそんなことはどうでもいい。
「……聴く」
座って、柵にもたれてその人と並んで。
イヤホンをひとつずつ。その人のとなりには裸のレモン。
流れるようなそのピアノの音色に。今地上に降り立ったばかりのような美しいその人に。
「……っ。……ふあ、ふあああん……」
私はなぜか泣いてしまう。満月を見ながら。
こんなに泣くのは、きっと子供の時以来だ――。
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