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8年ぶりの再会
ケータイで時間を確認して、俺は深く重い溜息を吐いた。
「今日も午前様かよ…」
チっと舌打ちするが、暗い夜空を見上げれば怒りも僅かに静まる。
「今日は月が見えないな」
名前に空という文字が入っているせいか、昔から空を見上げる癖があった。
天気の移り変わりを見ていると、嫌な気分も薄らいで落ち着いたものだ。
今住んでいる二階建てのアパートは、高校を卒業してから住んでいるから、もう住み始めて八年になる。
住宅地に平成初期から建っているが、そこそこ住みやすくて俺は気に入っていた。
だけど職場からは遠く、また駅からも遠かった。
コンビニやスーパーが近くにあるが、不便を感じてしまう。
「そろそろ引っ越すかな」
金もないワケじゃないし、会社近くのマンションを借りることを考えていた。
だが仕事が思ったより忙しく、なかなか引っ越し先を見つけられないというのがある。
「有給取ってでも探すことでもないしな」
夜道を一人、ぶつぶつと言えるのも、人気がないおかげだ。
俺は結局、仕事が暇になってからといういつもの考えにたどり着き、早く家に帰ろうと足を進めた。
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