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本当に厄介な人だ。
「ねぇ、八雲から聞いたんだけど、引っ越すんだって?」
「正確には決まっていませんよ。ただ引っ越したいと思っているだけです」
「なら僕のマンションにおいでよ」
「はっ?」
「僕のマンション、キミ達の職場からそう遠くないし、ここより近いよ。それに部屋も余っているし、ちょうど良いだろう?」
「えっと…」
話が急展開過ぎて、ちょっとついていけないところが…。
「それにさ」
「なっ何です?」
イタズラっぽく微笑む彼は、どこか不気味だ。
「好きな人の側には、ずっといたいでしょう?」
「うっ…!」
そっそれを言われると、何も言えなくなってしまう。
「よし、じゃあ決まり。来週の土曜にでも、引っ越しておいでよ」
「きゅっ急過ぎますよ! 引っ越しの準備期間ぐらいください!」
「そのぐらい、有給取りなよ。今まで使っていない分、貯まっているって八雲が言ってたよ?」
兄貴、殺す!
何でこうもベラベラしゃべっているかなぁ!
「…って言うか、よく兄貴から俺のことを聞いているんですね」
「うん、やっぱり気にはなっていたからね」
まあ兄貴からこの人のことを聞いていた俺も俺だから…とは納得できないな、うん。
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