第1章:最強の異剣士を目指して

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「おーい、待てってエル!」 幼馴染の声に振り返る少年の名はエルネスト。最強の異剣士になると言って故郷を飛び出した若者。 エルネストーーエルに声をかけたのは幼馴染であるシド。短いアッシュブラウンの髪が似合う鋭い目付きの男だ。その傍らには2人の幼馴染であるクレアがいる。長い金髪の可愛らしい女子だった。 「おせーよシド!それにクレアも。次の街は目の前だぜ」 黒い髪は癖毛で所々が跳ねている。その顔つきは胸に抱く夢と同じく少年らしさが抜け切っていない。 「おい、前っ!」 再び叫ぶシド。振り返ったエルの前には大型のトラックが迫っていた。 「おっとぉ!?」 エルは急いでハンドルを切るとトラックとすれ違った。 「あっぶね~」と言いながらゆるゆると停止するエルの横にシドが止まる。 「お前のバイク、無人制御システムが壊れてただろ。さっきみたいな運転してたら、いつか轢かれるぞ」 「…そだな。てかだったら呼ぶなよ!」 3人はバイクで移動していた。 故郷を旅立ち、3人でのバイク旅。ちなみにクレアはシドのバイクのサイドカーに乗っている。 大人たちには無茶だと言われた。戦時中だから危ないとも。 しかし、誰もエルを止める事はできなかった。シドとクレアの2人は巻き込まれたクチだ。 エルの両親は早くに他界していた。エルは祖父母に育てられたのだが、その祖父母も先日逝った。 エルは遺された家財の一切を売り払い、代わりに異剣を得た。 胡散臭い行商人が相手だったため、詐欺られてはいないかシドはエルの事を心配していた。 “最強の異剣士になる” そう意気込んで出てきたは良いが、エルに目的地はあるのだろうか? 「ずっと南下してるが、どこに向かってるんだ?」 シドが聞くと、エルは待ってましたと言わんばかりにニヤつく。 「南の果て……かつて南極と呼ばれていた、その先だ」 「南極の先ぃ?」 そこに何があると言うのか?エルの事だから「とりあえず南に行こうと思った」とでも言いそうだ。 しかし、クレアはエルの目的に勘付いたようだった。 「南の果てって……もしかしてあの噂?」 エルは大仰に鼻を鳴らして「その通り!」と言い放つ。
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