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椎名の事務所に帰り、この3日間で分かった事を整理する。
「鈴木義彦も、中村友季子も、遠野陽一の義兄が白井製薬の野田とは知らなかった。
鈴木君は白井製薬の野田とは面識がある、慰労会で鈴木孝文に紹介されている。だから、新築祝いで兄だと知り驚いた。」
「うん・・。中村友季子は慰労会にも2度くらいしか出たことないらしいし、女性だしね。他の会社の男性と会話するっていうのも想像はあまり出来ないね?彼女もその辺は・・あまり興味もなさそうだ。」
椎名と二人メモを見ながら話す。
お互いに確認するように。
「兄貴にしても、仕事場で余所の会社の人の名は出しにくいだろうし、変な誤解も嫌だろうから、仕事場では野田の名前は出してないはずだしね。ピザ窯も、純粋に楽しいだろうと借りたんだと思うし、そこで関係を変に隠すのもおかしいと思ったんだろうな。」
「うん。それに、普段は野田も、陽一さんも会社ではお互いにお互いの名前は出さないようにしていただろうし、家庭でも、顔を合わせる時は仕事の話はしないようにしてた様だよ。」
「ん?椎名・・何で分かる。」
「写真の裏だよ?全部見たかい?家族のアルバムにも裏に一言書いてある。日記みたいなものだ。
野田さん一家の家に、第一子誕生後、訪ねてる。その写真に書いてあった。
普段はお互いの仕事の所為か行き来がない。
顔を合わせても仕事の話はしないように気を遣っているのが分かる。
そういう記述があったよ?」
「同じ仕事っていうのも考えものだな。だけど、慰労会がなければ、兄貴は由美さんと出会えなかった。当時は野田さんは営業だったし、畑が違うから気軽に話せたんだろうな。」
「でもね?不思議だよ。」
椎名が窓の外を見て言う。
「不思議?」
「うん。見張りが貴久・・お兄さんだとして、頼まれて断れなくて・・・としてもだよ?
狙いが陽一さんなら、俺だったら・・意地でも中には入れない。二人をその場から遠くへ誘うね。」
「俺も・・そうかな?もし、やるとして、妹が子を連れて帰ってきたら無理矢理でもその場から遠ざける。
怪しまれようが、そうする。すぐに玄関を開けさせて入れはしない。
それをしたとするなら・・・野田はかなり厄介で危険だという事になる。」
「危ないのはゆずるちゃんかな?その場合・・。」
椎名はそう呟いた。
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