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買い物に行っていたゆずると大田美由紀が戻ってきて、陽介達は口を告ぐんだ。
「暑いですね。貧血になりそうでした。」
大田さんが明るい声で言いながら入ってきた。
「食べ物あります?」
椎名が軽口で聞くと、
「ありますよ。」
と、笑って答えた。
休憩しつつ、話をまとめる。
「見張りはどっちかとして・・依頼は?実行犯は?」
気がせいていた。
「遠野、焦るな。まずは慰労会。そっちはお前とゆずるちゃんに任せた。
両親の出会いが知りたいとでも言って話を聞けばいい。白井製薬にも、他にも・・ついでに孝文の情報がもらえればありがたい・・。俺たちは依頼の線で当たってみる。」
「依頼?」
理解できずに陽介は聞き返した。
それに応えたのはゆずるだった。
「そういうのを受けている人たちが、そういう依頼を12年前に受けたかどうか?」
「そう!さすがシュウ。 依頼があるとか言って近づけばいい。ちょっとした知り合いも見つけたからね。」
「そんな怖い知り合いがいるやつと、俺は友達だったのか?」
少しショックだと思う。
「お前に言われたくないね? 情報をくれる人だ。犯罪者ではないよ?お前だって、そういう人、いるだろう?」
「こんな仕事してればね?」
そう答えると、
「ほら!お互い様だ。」
と言われてしまった。
ゆずるの反応が気になったが、普通すぎて逆に驚いた。
普通ではないゆずるの反応。
「しーな。その人、僕にも紹介してくれない?」
「えっ?ゆずるちゃんに?情報屋さんを?それは駄目だよ。信頼関係なんだ。情報元は明かせない・・これはルールだからね。」
椎名が断ると、さらに言う。
「じゃあ、情報屋さんでなくていい。情報をもらってほしい。12年前、金使いの荒くなった人、もしくは人を殺したと自ら言っている男・・そういうのを知ってそうな人。」
ゆずるの表情にぞくりとした。
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