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( 放っておくと何をするか分からない。)
すぐさまそう考え、ゆずるに言った。
「椎名の知り合いでなくても、俺でも情報屋くらいはいる。紹介する・・。」
少し嫌そうに言う。
わざとだった。
嫌は嫌だ・・それは本当だ。
だが、椎名の情報を持ってくる奴が、どんな情報を持ってくるか分からないよりは、自分の息のかかった情報屋を紹介した方がいくらかましに思えた。
ゆずるは少し、下唇に左指を当てて俺の顔を見た。
考える時の癖みたいだ。
シュウの時も良くやっていた。
そしてその顔をしている時は、やたらと大人っぽくて、誤魔化しが効かない気がする。
「しばらくは、慰労会も調べないといけないし・・出来れば慰労会の名簿なんかも手に入れたい。
うん・・いいよ。叔父さんの情報屋さん、紹介して?」
笑顔で言われてしまう。
椎名はそれを聞いて、
「じゃあ、僕は怪しそうなの探してみるね。あと、鈴木の方を調べてみる。 遠野とゆずるちゃんは慰労会から当たってみて。」
「では・・私は野田さんですね? 12年前野田さんの周辺を当たります。まぁ、警察も調べ済みとは思いますけど。」
大田さんがそういうと、その場の全員で聞き返す。
「「「いいの?」」」
大田さんは驚きながら、
「今さらですよね? それに野田さんとは私一切面識ないので、一番適任ですよね?」
自信なさげに呟いた。
「事務員に時間外労働悪いなぁ・・。残業手当ないけどいいかなぁ?何かあったら連絡してね?
あ、これ野田の家の住所、会社の住所、電話・・名刺。」
椎名が言いながら、一式を渡す。
「ありがとう!本当に、感謝します。これ、家族写真、あと、警察から当時の調書のコピー。
時間とか細かく書いてあるので・・地取りよろしくです。」
陽介は大田さんの広げられた両腕の資料の上に、さらに資料を乗せる。
「えっと・・地取りってなんですか?」
「近隣の人達に話を聞きながら、時間とか歩いた場所とか当時の記録通りか確認する事だよ? はい、これ追加分。
奥さん、志保さんて言うんだけど、かなりの手強さだから近隣に話を聞く時は気をつけてね?
あと、念のため防犯ブザーと録音用のレコーダー。これ、居場所分かるからね?ポケットにでも入れておいて?あと・・・スタンガンいる?」
「えっと・・シュウが一番、怖い気がするんだけど?私、そんなに危険なとこに行くの?」
不安そうに大田さんは聞いた。
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