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卵焼き、納豆、味噌汁、ゆずるの用意してくれた朝ご飯を食べながらお互いの今日の予定を確認する。
「今年の慰労会の幹事が星和製薬らしい。アポ取りで昨日電話してみたら、幹事には簡単に会えそうだ。午前中に会ってくれるそうだから、終わったらメールする。」
「ん…。慰労会受付ノートっていうの? 見せてくれるといいね?」
「見せてくれても、12年前は無理だろう?」
卵焼きを食べる。
「ん、これ……。」
「何? 」
と不思議な顔で聞いてから、ゆずるは続ける。
「12年前じゃなくていいの!5年前後、鈴木孝文が来てたとこ!会社名が載ってる可能性が高いんだから!」
「分かってる。これ、卵焼き、異様に甘くないか?」
ゆずるの作る卵焼きは甘い…が、今日のは特に甘い、スイーツみたいだ。
「ん?」
一口食べて、
「ああ、ごめん。つい、自分の口に合わせちゃった。立川の両親はだし巻きで、美樹ねえは甘い派だけど、控えめ、私と駿はいつも大甘だから、つい。残して?」
駿君、と聞くと何故か対抗したくなる。
「いいよ。上手いよ。これはこれで。いい味だ。で?ゆずるの今日は?」
話題を変える。
「慰労会はしばらく叔父さんだけがいいんでしょう? 姪に話しを聞かせたいって行く気でしょう?私は最初はいない方が良いよね?」
「まぁ、その方が何度か訪ねられそうだしな。」
卵焼きを全部食べる。
「シュウで叔父さん紹介の喫茶店に行ってくる。」
「一人でか?夕方、一緒に行こう?」
「一人だから良い事もあるでしょ? それに自分が紹介したんじゃない。そぉんなに、危ない人でも場所でもないんでしょ…どうせ。」
(ばればれか。)
味噌汁を飲みながらそう思う。
椎名が抱えている情報屋から危険な情報をもらうよりは、自分の知り合いの情報を与えた方が安心だと思ったのだ。
情報屋は、兄と由美さんが結婚前に良く待ち合わせしていたという喫茶店を教えてくれたのだ。
「じゃあ…時間が合えばどっかで昼でも食べるか。」
ご馳走さまと付け足して聞く。
「終わったら電話して?私はフラフラしてるから。」
テキパキと片付けをして、陽介が鞄を整理していると後ろでゴソゴソ着替え出した。
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