現実

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「あら?ゆずちゃん、いらっしゃい。ちょうど良かった。息子がケーキ持ってきたの。食べてって?」 「有り難う、戴きます」 「おい・・ゆず・・・。どこだここ?」 小さな声で聞く。 「友達の家」 「うん。ゆずちゃんはわたしらの友達。」 「ゆっくりしていってね。えっと・・あなたは?」 ケーキを出しながら、奥様に名を聞かれる。 「あ。。立川、陽介と言います。ゆずの、おじで・・。」 答えようとしどろもどろしていると、ゆずるはすぐに話しだした。 「あのね?おじさん、仕事で久しぶりに日本に帰ってきたから家がないんだって。ホテルに泊まるっていうし、ここだめ?」 ゆずるの言葉に俺はパニックになる。 (ここ? ここって・・。どういう事だ?) 「いいよー。部屋空いてるし。」 おじいさんはすぐに返事をする。 「いいって。2階、3つ和室があるの。」 ゆずるが言うと、 「気兼ねなくね?私達、特別何もしないから、台所も好きに使って下さいね?」 奥さんが笑って言う。 しばらくの寝どこが決まった。
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