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兄貴の財産管理帳を見せてもらう。
しっかりと管理されていた。
立川夫妻は本当に1円足りとも引き出し手続きをしてはいなかった。
「ゆずるの生活費は送ってるけど、それ以外にもいろいろ金は掛かるだろうに。」
陽介は感謝でいっぱいになった。
「糸島先生って今、教授? 良く了解してくれたね?姪っこちゃんには会わせたの?」
椎名がそう聞いて来た。
「いや。話しだけ・・。事件の事は新聞見て知っていると。管理だけなら、構わないと言って下さった。」
「そうか。正直、このまま貧乏が続くと俺は自信がない。見張りがいてくれるのは助かる。まだ、弁護士資格は失いたくない。」
「お前・・。使う気か?」
「貧乏ってさ。人を誘惑するんだよ。知ってたか?」
笑いながら椎名は言うが、確かにそうだなと思う。
「魔が差す・・と、言うからな。」
陽介はそう返した。
椎名は慌てて、
「しないよ? 管理しっかりするよ?ホントだよ?」
と言う。
その様子がおかしくて、笑いながら答える。
「分かってるよ。お前の事は信用してる。俺が言ってるのは犯人の事だ。何処かで、今も普通に暮らしている。魔がさしたのか・・早く捕まって欲しいよ。」
椎名もそれには同意した。
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