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現地で、人を殺しそうになり逃げた・・という人に会えた。
そのグループは、仲介人が仕事を斡旋していて、その都度、人を集めるらしい。
「日本で一仕事して、直ぐに帰ってくる。」
そう聞いて参加した。
「観光位、ついでにできるかな?とか、良いお金入るからお土産帰るかな?」
という、軽い気持ちで受けたいい仕事らしかった。
「ついたら、ビルの部屋に閉じ込められて動けず、時間だと言われて車に詰め込まれて、知らないとこに連れて行かれ、その部屋の人の首を全員で締めて来い、それで終わりだと言われた。」
とんでもない仕事だと思いながら、黙って聞く。
「写真を見せられて間違うなと念を押される。だけど、正直、日本人の顔、区別つかない・・。
怖くなった。逃げた・・。捕まってそのまま、空港に連れてかれて・・帰ってきたら迎え来てた。何されるか分からないから、人にまぎれて逃げた。しばらくは隠れてた。」
「その時の相手は・・知らないよね?男?女?」
「知らない。場所も何処かビルみたいな・・大きな建物だ。写真は老けた男だ。それは確かだ。」
(兄貴ではないな。一軒家だ。その位の違いはわかるはずだ。)
「ありがとう。他に何か知ってる人がいたら紹介してくれ。紹介料は払う。これは今回のお礼だ。
君ももう、上手い話には乗らずに、どうか無事に生きてくれ。」
名刺を渡してそう付け加える。
「世の中には、平気で殺せるのと、どうにもできないの、出来ても後悔で壊れるのがいる。
俺には無理だ。母親の顔がちらつく。もう・・ここを出る気はない。」
彼が小さく呟いた。
(兄貴を殺した奴らが後悔していてくれたら、少しは報われるか?)
ゆずるの顔と、ぶらぶらとする腕を思い出した。
依頼人・・そこを見つけないと、ゆずるの安全は保障されないかもしれない。
なぜ、遠い外国人に依頼をしたのか?
そもそもどういうルートで依頼が出来るのか?
調べる事は多かった。
今度は日本で連絡が来るのを願いながら、調べようと思った。
とりあえず、ここでは調べ尽くした。
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