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スプリングに入ると、案の定、オーヤは飛翔に大股で歩み寄り、渾身のちからで殴りとばした。
飛翔は地面に叩きつけられ口の中を切ったが、抵抗はしなかった。
さらに近づかれ胸ぐらを掴まれて引き上げられる。
「ドームの内部が燃やされた時、魔力のある者が協力して火炎から人々を守り耐えた! 耐えられずに死んだ者もいた! なのに、百人しか助けられなかった! お前が連れてきた女のせいで! お前のせいで、七百人も死んだんだぞ!」
窒息するほど強く、オーヤに締め上げられた。
怒りにたぎる目で燃やされるようだった。
「オーヤ、やめるんだ」
飛翔を突き放すとオーヤは声をかけてきたイシュリンにも詰め寄った。
「あんたも、なんでもっと早くに戻らなかったんだ! おれたちに冷たいよその町なんてほっといてドームにこもっていればよかったんだ!」
オーヤは泣きながらわめいた。
「オーヤ、落ち着け」
目に包帯を巻いたままでイシュリンの肩を頼っているワイクからも諭される。
「助けられずに仲間が死んで行くのを見るしかなかった……、その気持ちはわかるつもりだ」
ワイクはいたわる。
「だが、飛翔も知らなかった。飛翔を責めるのはお門違いだ」
「そんな仕打ちを受けてもか」
「そうだ。これが神の意思なら私は甘んじて受け入れる」
そのうえで彼をなだめた。
「オーヤ、復讐からは何も生まれない。憎しみの連鎖になるだけだ」
「さすが、神官に仕える禰宜(ねぎ)さまはご立派だ。下賤なおれとは違う」
オーヤは自嘲して足元を睨む。
「おれはアルマに復讐する。おれ以外にも復讐したいやつ、家族を殺され仲間を焼かれ、報復のためなら死んでもいいと思っているやつは多い」
強く拳を握った。
「どうしてもやつらに復讐しないというのなら……、おれはレジスタンスをやめて、ここを出て行く」
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