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「はあ 本当まいっちゃうよ……」
独り言を言うつつ、そして、夜空を見上げた……雲一つない三日月の夜。
街灯一基しかないのだから、星々が綺麗に見えてもおかしくないのだが、昼間のプレゼンの事が走馬燈のように蘇り、目頭が熱くなったかと思うと、視界がぼやけてしまった。
「あーあ せっかくの星空なのに……グス」
込み上げてくる思いに、涙が頬を伝う。そんな最中だった。
遠くの方から光が近づいてくる。どうやら車道を一台の車がこちらに走行してくるようだった。地元の人間と踏み、あえて気にとめてはいなかったものの、その車が、駅の方へと曲がったのだ。
そして、私の立つ数メートル前で停車した。流石に駅の方へ来るとは思わず、慌てて、涙を拭い、その光の方へと目をやる。
すると、車のドアが開く音が耳に届くと同時ぐらいだった。
「野之巻?」
突然呼ばれ思わず、体が硬直する。勿論そんな状態で声が発せられる訳もない。しかし再度、光の先から、声が挙がる。
「野之巻か?」
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