1人が本棚に入れています
本棚に追加
心地ち良い
遠くで声をかけられているようだった……心地良い暖もあり、その声に特に気にするつもりもなかったが、何かが私の体に触れた事により、朧気な世界に溝が生まれる。
その溝からまたもや、聞き覚えのない人の声。
(誰 なの?)
だが、その声は除々にはっきりとした口調へと変わる。と同時に視界が開けた。
「お客様 大丈夫ですか?」
「う……ん?」
ぼやける目線の先に、人影。
「お客様」
再度声をかけられ、完全に我に返る。そして、目の前にいる、最寄り駅の駅員の姿で、ある程度の事は予測がついていた。軽く頭を掻き、目の前の駅員に軽く会釈をする。
「すいません 私 寝ちゃいましたよね……ちなみここって……」
「はい 終点の中多摩です」
「はははは やっぱり…… ちなみにこれから都内に出る電車って」
「申し訳ありませんが 今日はもう……」
「ですよね……」
最初のコメントを投稿しよう!