3人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
第漆章
しかし、私は年老いた。
もう時間がない。
あの世に行く前に、あの本の結末を、そろそろ知ってもいいだろう。
もしかすると、あれから私の人生について回る喪失感や、探していた人生の欠けたピースが、そこには書かれているかもしれない。
そんな都合のいい希望を抱いて、私はもう一度「マクトゥーブ」と呟いてみたのだった。
マクトゥーブ・・・たしか、「全ては同じ神の手によって書かれている」そんな意味だった事を思い出した。
神様って作家は、ずいぶんと遠回しに伏線を張り、もったいぶって回収するのが好きなのかもしれない・・・。
そうなのかな・・・?
いや、そうかもしれない。
そうだ、やるだけの事はやってみよう!
最初のコメントを投稿しよう!