脚本 1話目

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脚本 1話目

東京から電車で40分ほど、都会でも田舎でもない地方都市、ソロモン町。 「10、9、8、7」 駅前広場の中央に噴水と待ち合わせに最適の背の高い時計。その時計を見上げながら、シャッターの降りた店の前で、カウントダウンをする少年。 少年の名前は横山爽太。ソロモン小学校に通う、小学4年生。 爽太は待ちきれないという表情で、今にも駆け出しそうに両足で腿上げ運動をしている。 「6、5、4」 時計は9時59分55秒を過ぎる。その間も、爽太のカウントダウンは続く。 「1、0!」 爽太の0と同じタイミングで、彼の前のシャッターも上に上がる。シャッターを上げたのは芹沢玩具店の店主の一人娘、芹沢加奈。加奈は爽太と同級生で同じクラス。 「朝からうるさい!」 「痛てっ!」 加奈のゲンコツを脳天に受ける、爽太。 場面は変わり、芹沢玩具店の店内。小さな店内には流行のおもちゃから一昔前のおもちゃまで、所狭しと並べられている。 カウンターの中に座る店主、芹沢瀧汰が大笑いしている。 「ハハハ。爽太くんが開店時間前から店の前にいたから、何事かと思ったけれど、なるほど、今日が爽太の10歳の誕生日なのか」     
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