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「ただいま」
「おかえり」
そんな言葉が日常になってきた夏。
またすぐにいなくなってしまうのでは、と不安だった私の思いをいい意味で裏切って、奏は頻繁に我が家に来るようになった。
「今日は中華にしようと思って」
「いいね」
嬉しそうに笑う奏を見て、少し野菜を多めにしようなんて企む。
いつもニコニコしていることが多いけど、今日は特に機嫌がいいようだ。
「いいことがあったの?」
料理を開始した私の隣に来た奏に問いかけてみると、大きく瞬きをして私を見つめてきた。
「どうしたの?」
「いや……どうして分かったのかなって思って」
奏は、私がリズムよく人参を切るのを見て、一瞬顔を顰めつつも、首を傾げた。
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