第二章 距離

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「勘だよ」 「嘘」 「僕、人の名前当てるの得意なんだ」 「そんな特技、聞いたことない。本当のことを言ってくれないなら、何回だってここに来て、貴方を探し出して、しつこく聞きます!」 「……頑固だなぁ」 「頑固だし、やるって決めたらやり通しますよ」 「本当に?」 「本当に!」 掴んでいた手が引かれる感覚がして、慌てて力を込める。 見つめあったのは一瞬だったかもしれないけど、私には長く感じた。 そんな拮抗状態は、彼の溜息で破られた。
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