第二章 距離

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「私の名前を知ってるなら、貴方の名前も教えてください」 「内緒」 「内緒は禁止します」 「秘密」 「秘密も禁止します」 「名乗るほどの者ではございません」 「そういうわけにはいきませんよ。二度も助けてもらって、お礼をしないと気がすみません」 「僕は気にしないのに」 「私が気にします。きっと一生心残りになります。貴方のことを決して忘れませんから」 私の言葉を聞いた瞬間、それまでにこにこと笑っていたのに、顔が強張った気がした。
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