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「さ、行きましょう!」
「行きたくない……」
「どこがいいかな」
「聞いて」
「カフェかな? 一時間か、結構短いですね」
グイグイと引っ張る私を見つめ、わざとらしく溜息を吐いた奏だったが、遂に観念したのか、引っ張らなくても歩き始めてくれた。
まだ拗ねているのかと思って、チラッと覗き見た奏の表情にどことなく陰りが見えた気がして、幾許かの不安がチラついた。
それから、私と奏は駅近くまで戻り、チェーン展開しているコーヒーショップに入ることにした。
私が強引に連れてきたという自覚はあったため、奏のコーヒーも併せて買おうとしたが、奏は、実にスマートに二人分の会計を済ませてしまった。
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