第二章 距離

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あまりに自然すぎて、口を挟むこともお金を出すこともできず、結局、奏にお礼を言って空いている席に腰を下ろした。 明るいところで初めて見た奏は、やっぱり作り物のように整った顔をしている。 街の明かりでは分からなかったが、栗色の明るい髪と琥珀のような明るい色をした瞳だということに気付いた。 色白だということを考えると、もしかしたら髪も瞳も自然のままなのかもしれない。 「それで、光里さんは、僕をどうしたいの?」 「え、どうしたい?」 「こんなところまで連れてきて。僕だって、暇じゃないんだよ」 「うっ」 そう言って、奏はコーヒーを一口飲んで、ジトッと上目遣いで睨んできた。
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