第二章 距離

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どういうわけか、ものすごく可愛い。 「奏さん、かわ」 「それ禁止」 「えぇ、どうして? 奏さん、よく言われるんじゃないですか?」 「言われるけど、なんか、光里さんには言われたくない」 「ひどい……」 私だけがダメだと言われると、ちょっと、いや、結構悲しい。 だって、可愛いものは可愛いでしょう。かっこよくもあるけど、私にとっては今のところ可愛いの方が強い。 そう思っていると、コトリとカップを置いた奏が、私の顔を覗き込んできた。 「ねえ」 「何ですか?」 店内の照明が、長めの前髪に隠れた瞳に映り込んで煌めく。隠しているのが勿体ないと思った。
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