阿鼻叫喚

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阿鼻叫喚

 龍泉町 深夜12時  19歳の女性が殺害された。19歳女性がハンカチで絞め殺された後、加害者から身体を切断され、肉片や手足を一夜のうちに畑などにばら撒かれるという常軌を逸した行為を受けた。  女性の名前は一色優子。  11月18日に群馬県警は被疑者として倉崎ユウマって配管工を殺人及び死体損壊と遺棄で逮捕した。 ユウマの供述によれば被害者とは面識は無く、自分が探していた女性と誤認して殺害したというものであった。  供述によればバラバラにしたのは平素のうっ憤が爆発したためであると主張しており、まず女としての価値を無くすために、持っていたナイフで下腹部と乳房を切り取ったうえ、歩けないようにするために足を切断したという。そして逃走の最中に肉片をばら撒いたというものであった。  その女性とは2016年8月頃、倉崎の地元、沖田市のクラブで出会った。優子の優しさゆえの親交を倉崎は自分に対して好意を持っていると勘違いした。 そのため優子の両親に結婚を前提にした交際を申し入れた。  しかし、倉崎は地元では職業を転々として定職につかず窃盗の前科があり少年院にいたことが知れ渡っていた。  そのため、優子の両親は「定職がなければ認める訳にはいかない」と婉曲的に断っていた。  しかし、倉崎は定職に就けば交際を許してもらえると都合よく解釈し上京した。  しかし生来の性分のためか仕事は長続きせず職を転々とし、1年後の2017年7月に再び優子の両親の前に現れたが、そのような状況では倉崎の申し出を許すはずも無かった。  そのため優子の両親は結婚は無理だと断り、優子を長野県に住む姉のもとに避難させた。また優子も倉崎に対してうんざりしていた。  しかし倉崎は優子が自分に対して好意を持っているはずだと自惚れており、ストーカーと化し長野県に行った。  優子の姉の元を尋ねたが優子の居場所を教えられるはずもなかった。しかし代わりにコンビニでの職を斡旋されたため、倉崎は真面目に働いていたが、暇を見つけては優子を探しに長野県内を歩く日々を続けた。  倉崎は「優子探しの旅に出る」といってコンビニを飛び出した。それはバラバラ殺人事件を起こす4日前のことだった。  そして、龍泉町にいることを突き止め、暗がりの路上で白いブラウスに黒いスカートを着用した、優子瓜二つの無関係の女性を優子と誤認して凶行に及んだ。
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