RUMI

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僕は愛想笑いを繰り返しながら、彼女と映画館に向かった。 約束した以上、勝手に帰っては悪いと思ってしまったから。 映画が終わったら家に帰り、もう二度と連絡を取るのはやめようと決めていた。 僕はチケットを購入し、映画館に入った。 席はほぼ満席だった。 上映が始まるまでの間、僕は当たり障りのない話で時間をつぶした。 彼女はただ微笑んで、僕の事をじっと見ていた。 僕は、そんな彼女と目を合わすことができなかった。 「工学部は楽しい?」 彼女は不意にそう言った。 僕はとっさに「うん」と答えたが、彼女には専攻までは話した記憶がなかった。
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