0人が本棚に入れています
本棚に追加
な、なんだこれ、布団がゆっくり密着してくる!どうなってるんだ!? ほんのり暖かく、俺の身体の輪郭に沿ってその形を変えていく。また、その間もミチルの小さな息遣いが耳を撫でる。
「たっくん、心拍が早いよ? ドキドキしてるんでしょ~?」
「そ、そうだけど…」
「良いんだよ~、そのために私がいるんだから。でも、このままじゃ寝れないか。そのうち慣れるって」
「そ、そうかな」
「そうだよ~♪」
なになになに!この気だるいやり取り、彼女っぽくてたまらん!
平静を保つために頭の中で円周率を必死で数える。
・・・・・
「お疲れさま。計測終わったよ~。たっくんの情報はまるっとインプットしちゃったから」
「そ、そうですか…」
「まぁ、心拍だけは正しい数値が取れなかったら、たっくんが寝てる間にでも測っておくね」
「……」
こ、これは3次元の彼女より手強い相手なのかもしれない……。
彼女は畳み掛けるように話しかけてくる。
「ねぇ、たっくん。私はあなたを癒すためにいるのであって、このまま緊張していられるのは本意では無いんだよね。だからさ、一緒に寝てみようか。私がどれだけたっくんを熟睡させることができるのか、教えてあげる♪」
ミチルの提案はごもっともだった。寝るためにある布団にドギマギさせられていては、疲れが取れない。それではミチルが来た意味がないのだ。俺もさっさと慣れてしまった方が良い。
最初のコメントを投稿しよう!