1話

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な、なんだこれ、布団がゆっくり密着してくる!どうなってるんだ!? ほんのり暖かく、俺の身体の輪郭に沿ってその形を変えていく。また、その間もミチルの小さな息遣いが耳を撫でる。 「たっくん、心拍が早いよ? ドキドキしてるんでしょ~?」 「そ、そうだけど…」 「良いんだよ~、そのために私がいるんだから。でも、このままじゃ寝れないか。そのうち慣れるって」 「そ、そうかな」 「そうだよ~♪」 なになになに!この気だるいやり取り、彼女っぽくてたまらん! 平静を保つために頭の中で円周率を必死で数える。 ・・・・・ 「お疲れさま。計測終わったよ~。たっくんの情報はまるっとインプットしちゃったから」 「そ、そうですか…」 「まぁ、心拍だけは正しい数値が取れなかったら、たっくんが寝てる間にでも測っておくね」 「……」 こ、これは3次元の彼女より手強い相手なのかもしれない……。 彼女は畳み掛けるように話しかけてくる。 「ねぇ、たっくん。私はあなたを癒すためにいるのであって、このまま緊張していられるのは本意では無いんだよね。だからさ、一緒に寝てみようか。私がどれだけたっくんを熟睡させることができるのか、教えてあげる♪」 ミチルの提案はごもっともだった。寝るためにある布団にドギマギさせられていては、疲れが取れない。それではミチルが来た意味がないのだ。俺もさっさと慣れてしまった方が良い。     
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