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2話
「う、うーん。」
あれ、気づいたら寝ちゃってた。ミチル…というか布団に目をやると、抱き着いているような感触は無くなっていたが、しっかりと僕の首もとまでしっかりかかっていた。
「起きたんだ」
「え?」
一人暮らしに自分以外の声が聞こえたことに一瞬ビックリしてしまう。そっか、この布団しゃべるんだった。
「今何時?」
「午後6時半だよ、昼寝にはちょうど良かったんじゃないかな」
「そっか…。そうだ、寝返り打ったりしたと思うんだけど、布団が乱れてないのはミチルのおかげ?」
「そうだよー、私の中には特殊なファイバーが入っててね、ゆっくりだけど位置を調整できるんだぁ。たっくんの身体は常にモニタリングしているから、ずれたら戻してるよ。」
「すごいな…」
「私が来たからには、布団蹴っ飛ばして風邪ひくなんてことは絶対させないからね!」
「あ、ありがとう…」
「いえいえ!汗かいてたから、水分補給した方が良いよ」
「わかった」
僕は軽い体を起こし、水を飲む。
この短いやり取りで、僕の睡眠は依然と全く違うものになったことを理解する。
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