あたし、猫を飼いたい。

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あたし、猫を飼いたい。

 明日から冬休みだ。  学校帰りのウィルマは、ハイドアウトに帰る家路を急いでいた。顔に吹き付ける風が冷たい。 寒さに首を竦ませた彼女は、巻いていた赤いマフラーを引き上げて鼻を覆った。  ふと何処からか、か細い声が聞こえて来た。ウィルマは足を止め、周囲を見渡す。かすかな声のする方向に近づくと、よれよれになった段ボール箱が視界に入った。中を覗き込むと薄茶色の子猫が入っている。小さな段ボールの中には、子猫の他に使い古しのタオルが一枚。餌らしきものは見当たらない。  一生懸命に泣いている猫の姿は、まるで生まれて間もなく捨てられていた自分のようだと思った。毛布と一緒に木箱に入って、ルクレール園の前に置かれた赤ん坊。自分もこんな感じだったのだろうか。そう思うと、ウィルマはどうしてもその猫をほおっておくことができなかった。  そっと手を伸ばして子猫を抱きかかえてみる。子猫は驚くほど軽かった。彼女は巻いていたマフラーを外して子猫を包んだ。
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