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「あいつ私のことをいじめたの」千恵子がそんな話を始めた。
「あいつってあのでかいやつ？」
「そう」
「どうやっていじめたの？」
「貧乳だなって言って」
「君みたいな可愛い娘がそんなことを言われたのか？」
「私も陸上部員をしようとしたけどやめたの」
どうやらそれが彼女がビルから飛び降りた理由らしかった。そんな彼女がいとおしいと思うようになった。教室でふたりきりになっても行為するなんてことはふたりともしない。
「夏休みにどこかに行こうか？」
彼女が誘った。
「海に行きたい」
そう答えた。
「水着になるの？」
彼女が真顔になった。
「いやなら山にしよう」
「海に行こう。私、ウエストのくびれには自信があるんだ」
「マジで」てつやは思わず生唾を飲み込んだ。その音が彼自身に聞こえたので彼女に聞こえたのかと心配になった。千恵子は笑い出した。
「ビキニにしようかな」そんな話をする彼女が可愛いと思った。
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