う?

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 彼は彼女とキスをしてみたい。彼女はいやがるのだろうか。キスをして彼女が、ビルから飛び降りたらどうしようと心配になった。  妄想が飛躍して、彼女との結婚式はどうなのだろうかなどと、考えはじめた。  勉強を頑張れば彼女との結婚も現実のこととなるかもしれない。そう思うと彼は勉強を始めた。夏休みだが学校に来た。補習を受けるためだった。    昼まで補習を受けて帰ることにした。彼のほかにも補習を受けている生徒は多くいた。千恵子はいないような気がした。勉強に集中しすぎたせいか、同級生の誰が補習を受けに来ていたのかわからなかった。千恵子も補習に来ていたのかもしれない。帰りの電車に乗ると、勉強しまくりの世界から離れて一息ついた。  友達とファストフード店に入り食事をして帰ることにした。  公園の中の道を歩いている最中は蝉の音が気にならないのに、てつやの自宅の中に入るととたんに聞こえるようになるのは何故だろうか。  外を歩いている時は日差しばかり気になった。歩くのが嬉しいような悲しいような不思議な気分だった。  てつやは自分の部屋に入り復習を始めた。ふだんなら入浴して食事をする。そんなことは簡単に決めてしていた。でもこのごろ千恵子のことを思い出すと簡単に決められなくなった。病気なのか。彼自身を疑ってしまった。
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