う?

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 玄関のすみで彼女が話し始めた。 「私、小学生時代からいじめにあって、陸上部の男に言われたのだけが理由じゃないんだ」  千恵子はそうあまり大きくない声で話した。 「そうか」  てつやはあいづちをうった。 「オレもいじめにあった」 「あなたが?」 「うん」 「でも、うちの中学校で一番威張っていたやつとタイマンはって、オレが勝って、ぼこぼこにしばいてやったら、いじめられなくなった」 「本当に?」 「でも、オレをいじめていた人って何だったんだろうなって思った」  そんな話をてつやは始めた。 「オレ自身もいじめっ子を敵だと思っていたけど、敵って何?」
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