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そのまま書かれてたんです。「 騒音のある環境で集中したり読書をすることに困難を感じる。音楽など統制の取れた音は平気だが、無秩序なざわめきや金属音などは、頭を割るような不快な大音響で聞こえる。周囲の雑音の音量が全て同じ大きさに聞こえ、必要な音を聞き取れない。普通なら気にならない音までうるさく感じるので、注意力散漫になる。人体から出る咳やくしゃみ、鼻水をすする音など、特定の音を聞くと激しくイライラする場合もあるが、これはミソフォニア(音嫌悪症)という症状である。
今まで私が色んな音をうるさく感じるのは、私の人格や心の器量に問題があるせいだと思っていました。だから、これが障害の一種で、自分の気質とは関係ないこと、自分の性格を否定しなくてもいいことが分かっただけでも凄い嬉しかったんです。私は全部の霧が晴れたみたいでしたが、父親は泣いてましたね。円がこういう風に生まれてしまったのは、きっと自分の悪事が子に報いたんだって』
ごめん、ごめん、と父は泣いていた。自分が妹を見殺しにした罰がお前の聴覚過敏なんだと。他人の天罰が下った脳みそか私の頭は、と円は思った。私が欲しいのは、そんな言葉じゃなかった。
『
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