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は驚愕した。耳が聞こえないという分かりやすい障害なら、両親も理解してくれやすいだろうと思ったからだ。あの天然バカみたいな筆談の文章から、頭の緩い両親に甘やかされて育ったんじゃないかと、勝手に想像していたきらいもあるが。
同じような家庭で育った人と話すなんて久しぶりだ。興奮と好奇心から、普段は人には言わない家庭のことを、円は縁に打ち明けてみた。
『別にいいですよ。実は私も帰ってからしばらく、母親に泣きながら殴られてそれどころじゃなかったですし』
『殴られた どうして!』
『うちの母は、娘に聴覚過敏があることを絶対に認めないんですよ。だからそれでぶっ倒れても、音に耐えられなくて教室から飛び出しても、それが私の怠けや甘えのせいだって言ってとりあえずビンタです』
しばらく、相手が文章を書き込んでいる『…』というマークが映っていた。待った割に文章は短かったが、縁が懸命に難しい言葉を文章にしようと悩んだのが分かった。
『病院所で、も、あなた言った聴覚過敏、今言う。それはあなたも耳の悪いにあります?過敏は聞くのができませんのことですか?』
円は一瞬、迷った。耳が聞こえない、という、分かりやすい困難で
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