聞こえないあなたに、この辛さが分かる?

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ツ音とか、鼻水をすすったり咳払いをする音とか、ページをめくる音、咀嚼音なんかも、不快すぎてものすごく怒りが湧いてきて無理です。これは正確には聴覚過敏とは違くて、ミソフォニア、音嫌悪症って呼ぶそうです。テスト中とかに鉛筆をカリカリする音が聞こえてきたら、イライラがMAXになるんです。授業中そういう音が聞こえたら、いっつも涙目になって左手で耳押さえながら答案書いて、それでも耐えられない時は、みんなにバレないようにこっそり泣いてました。隣の子が花粉症だった日には、休み時間のたびにトイレに駆け込んで、泣きながら腕や服を噛んでストレスを発散しようとしてました』 辛い思い出がまざまざと目の前に蘇る。円が怒りを押さえきれずに睨んだ花粉症の子は、きょとんとするだけで、自分の発する音が人を苦しめているとは全く分かっていなかった。けれど、苦しみはそれだけではなかった。 『中学生になって、周囲との違いに敏感になった同級生は、私の聴覚の過敏性に気づきました。わざと大きな音を私の耳元で鳴らしたり、必要以上に咳払いをしたりしました。そしてその度にパニックになったりビクついたりする私の反応を見て、笑う遊びを開発しまし
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