[反乱と因縁と王さまと]

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 夏休みの始まる1週間前。  我慢ができなくなった俺は、翔を抜いたいつものメンバーのグループラインを作った。それが『いつもの(マイナス)K』だ。  ライングループ『いつもの』は、大半が運動部だ。そこに教室でよく絡むノリの良いやつと翔を含めた6人のグループ。  翔の事件で、このグループの関係が少しギクシャクした。体育や昼休みに近くにいるメンバーなのだからしょうがない。俺を含めて距離を置いた人間が数人、翔の発言や内藤の反応に罪悪感を抱いた数人。  クラスの空気より、このグループの仲のほうが身近で重大だった。翔をどうこうしようとかではなく、一度、翔抜きで話さなければと思った。  それで『いつもの(マイナス)K』で提案したのだ。『ボーリングに行く』と。  俺自身、事件の後からもやもやと渦巻く色々な感情を、解消したかったというのも理由だ。  色々と思うところをぽつぽつとコメントし、なんとなく段取りを決めてから『いつもの』のグループトークで提案をして、日程を決めた。  予定は夏休みが始まってから、1週間後に決まった。  このグループトークでの動きが、事件の後、図らずも俺と翔が2人で話す機会をつくった。 「――1時間待ったけど来ないね。既読もつかないや」「ああ……」  夏休み始まって1週間後のその日、ボーリング場には誰も来なかった。翔と俺以外は。
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