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手持ち花火の持ち手のような棒が3本刺さっている瓶は、数か月前から母親が消臭剤代わりに買うようになった。ルームフレグランスらしい。
――リラックスと集中力。
いつか気になって調べた効果を思い出し、肺に溜まった冷えた空気を吐きだした。
クローゼットを閉じる。
椅子に掛けておいた部屋着用のジャージに着替え、学校に行っている間、充電器に繋がれて留守番していたスマートフォンをつければ、通知がたまっている。決まった時間に来るソーシャルゲームの通知をスワップして流しながら、ベッドへ。
フォローしているYouTuberの投稿の知らせをタップし、仰向けに倒れた。
『わwwwちょwwww』『大事故www』
画面に映った大げさなテロップを鼻で笑う。ゲーム実況と一緒に後でゆっくり見ようと動画を止めた。
最後に、とっておいたクラスLINEのトーク画面を開く。
『教室でも言ったけど、みんな今までありがとう。高校で会う人も居るだろうから、その時はよろしく』
修了式の終わった時間に、2年から他校に通う翔からのメッセージが置かれていた。どうやら、翔は学校にスマートフォンを持ち込んでいたらしい。
そこにポツポツと別れを惜しむメッセージが返され、思わず頬が緩む。
『また高校で笑』
俺もそうメッセージを送ってから、スマートフォンをベッドの上に伏せた。
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