王さまのいた教室で。

[王さまの回顧録]

その映像には、複数の少年が映っていた。

放課後の教室、その黒板の前。

あるひとりの生徒の誹謗中傷を、楽しそうに書き殴る複数の少年の姿が。

だが、なにかあったらしい。

教室の後ろのドアに全員が注目したかと思えば、少年達はがたがたと急いで帰り支度をし、数秒も経たないうちに教室から消え去った。

その後、野球ボールのキーホルダーをぶら下げた黒のエナメルバックを持つ少年が、教室に入ってくる。彼はその黒板の落書きを眺めると、スマートフォンをとりだして写真を撮った。

彼はその黒板を目の前に、なにかを吐き出すように呟いた。

怒るように、呆れたように。

彼は黒板消しを手に取り、小さく息を吐いて、一気にそれを消した。