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読み終わったマイケルは恐怖のあまり、持っていた本を机に投げてしまった。
「なんだよ…これ…。」
この話は作り話にしては良く出来すぎている。この話は本当にあったようことをそのまま話にしたような描写であふれていた。ロディという人形職人も現実にいたのかもしれない。
マイケルはそれ以外にも恐怖を感じていることがあった。
サンドラと言う名前の少女が自分のクラスにいるのだ。
「…まさかな。」
マイケルはこの一致が偶然であることを祈った。
「何をしているのかしら?」
後ろから少女の声が聞こえた。
振り返るとそこにはサンドラが立っていた。学校に似つかわしくないゴシックロリータの服を着ていて、人形のような整った顔だちは、俺が読んだ本の中から飛び出してきたようだった。
「読んでしまったようね。」
机に放置した本を一瞥して、無表情のまま俺を見る。
「その話に書いてあることは全て本当。それに私の想像を交えて書いたものなの。師匠であり、
恋人でも会ったロディを「人形」の形以外でも残したかったの。今の彼はもう何も喋ってくれ
ないから。」
サンドラがポケットからナイフを取り出す。
「もう、あなたは人形にするしかないわ。」
一瞬のうちに俺の喉は切り裂かれた。返り血に染まった彼女の姿はとても美しかった。
「また、コレクションが増えたわ。」
サンドラの師匠であり、恋人でもあった人形職人のロディが使っていた工房にはー、
おびただしいほどの死体の山が積み重なっていた。
この工房が本来の用途に使われることはもう二度とないのだろう。彼女のいる限り。
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