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決めた、今日、彼女にプロポーズをしよう。人形が作れなくなったことも明かそう。
人形が作れなくなった僕をみて彼女は幻滅するかもしれない。だがやろう。
満月の夜、ロディはサンドラと一緒に工房の裏で星を見ていた。
…幸せだ。彼女とこんな風に過ごすのは。
「ロディ。」
彼女はすっかりため口を使うようになっていた。嬉しい。他人行儀じゃなくて。
彼女はすくりと立ち上がり、星を見ながら言った。
「私、ずっとあなたが好きだったの。」
顔が急激に真っ赤になる。
「え!?そうだったの!?」
急な告白に驚く。僕達両思いだったの!?
「ロディ。あなたはどう?」
サンドラが僕の顔に近づいて問いかけてくる。粘土と香水の匂いが僕の鼻をくすぐる。
…答えはもう決まっていた。
「僕も好きだよ。サンドラ。」
「そっか…良かった。」
そう言うと彼女はポケットから何かを取り出した。
「ロディ。あなたをもっと綺麗にしてあげる。あなたの技術でずっと美しく。
私と一緒に暮らしましょう。」
彼女がポケットから取り出したのはナイフだった。あっ、と驚いた時にはもう遅かった。
抵抗するまもなく、僕の喉は彼女のナイフで切り裂かれた。
どんどん薄れてゆく意識のなか、月明かりに照らされ返り血を浴び、笑う彼女を見て、
「人形のようで美しい」思った。
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