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俺からの想い
「えっ?何!?」
そういってカメラを抱えたまま振り向いた彼女は
白い雪にまみれ、キラキラと輝いていた。
『い、いや、何でも…』
「あっ、もう、急に話しかけるから、シャッターチャンス逃しちゃったじゃん」
『えっ?ご、ごめん…』
「うそよ、うふふ。今日は付き合ってくれてありがと。」
微笑む君、はにかむ笑顔、膨れっ面、
そして…
『やっぱり…引っ越すの?』
「そうだね。まだ、一人じゃ生きていけないし。」
『…大丈夫?』
「うーん、それはどうかわからないけど、きっと何とかなるんじゃない?」
泣き笑いになる。
それは、先日起きた交通事故のせい。
彼女の家族は、彼女一人を残し、
一瞬にして全員この世を去ってしまった。
「あの時、なんで私だけ取り残されちゃったんだろうね。」
『そりゃ、風邪ひいて家で寝てただけだろ?』
「うん…でも、なんであのタイミングで熱出したのかなって…」
『そりゃ…』
―俺が…生き残ってほしいって願ったからだ―
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