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見上げる空なんてない
ジブンは後悔していた。憤慨していた。憐れんで、拒絶して、反省して、もう一度作ろうと決心した。
なくしてしまった大切な何か。
ミズカラの手で崩壊させたユートピア。
ナカマに壊され、許して、踊って、自分も壊した。
別にアイツラが悪いとは一つも思っていない。
むしろ悪いのはジブン。
許したジブン。
?
ただ、許しただけだったのに。
なんで壊れたんだろう。
アイツラはもっと自由にやりたいといった。
それをジブンは快く許してやった。
そしたら、アイツラは、怒り顔で壊し始めた。
それがすべての始まりだった。
アイツラは、時計を壊した。時計が壊れて、時間がどんどん狂った。遅れて、早まって、また遅れた。
次にコンパスの針を折った。針が折れて位置が分からなくなった。自分たちがいるのは右も左もすべて暗闇。真っ黒な闇の中だもの。
そのくせ、地図は増やした。デタラメな地図。行けるはずもない夢の島への地図。イカセロイカセロと騒ぎ立てた。
最初のうちは良かった。ジブンは期待に応えるためにたくさん許した。フザケルナとは言わなかった。言えばよかったのに言わなかった。傷つくことを恐れて、言えなかった。
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