見上げる空なんてない

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ミンナガジユウニヤッテ、イイモノヲツクッテクレルナッラソレデイイヨ。代わりにそう言って道化を踏んだ。  道化師の服を着て、満面の笑みの仮面を被ってジブンは踊った。怒りのスポットライトいっぱいに浴びて。いや、踊らされていたのかもしれない。アイツラ=ナカマに。  ジブンは壊れた時計の上で玉乗りをし、折れたコンパスでジャグリング。増えた地図で紙ふぶき。それはそれは楽しそうに、これでもかとおどけた。  でも、貼りついた笑顔の仮面、その裏で泣いていた。なんでこうなったんだと泣いていた。  アイツラは相変わらず怒った顔でヤジを飛ばす。  オクラセロ、イヤ、ハヤイホウガイイ。コッチノホウガオモシロイカラカエロ。オマエノブンハゼンゼンダメダ。###ジャナイトユルサナイ。カズヲフヤサセロ。デキタカラフヤサセロ。  精一杯踊ったのに尚止まぬヤジに、いい加減飽き飽きしてきたジブンは、スポットライト抜け出して、張り付いた笑顔で大きなハンマーを取り出した。  ジブンはハンマーを大きく振りかぶって、時計を、コンパスを、世界を、全部ひっくるめて、粉々に、跡形もなく、グシャグシャにして、ぶち壊した!     
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