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 目を覚まして唸り声をあげたとき、そばにいた母が驚いた顔をしてナースコールを押したのを由香は見た。その後は大騒ぎだった。落ち着いてから、二ヶ月ほども眠っていたことを知らされたが、実感はない。聡介はどうしているだろう。そんなことを考えながら、ふと枕元の引き出しを開けると、手紙が入っていた。すぐに手紙を開く。 「……うそでしょう」  思わず、由香の口から言葉がこぼれた。自分は、聡介に大切に想われていたのだ。  手紙を読み終えた彼女の心の中に、もう迷いはなかった。行かなければ。  退院してすぐに、由香はタイムトラベルの手続きをした。行くとしたらあの日しかない。  過去に戻る前に、もう半年以上身につけていないイヤリングをアクセサリーボックスから取り出した。あの頃から、聡介も、私も、気持ちは変わっていない、変わらなくていいのだ。もう、別れを告げようなんて考えない。聡介と一緒に、未来を生きていくのだ。 「待っていて、聡介。今から行くよ」  耳元のイヤリングから、高く澄んだ音が響いた。
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